屋敷を出立した私たちは、城の大広間付近に到着した。
馬車の中ではずっとアイザックが不安がる私の手を握っていてくれて、心強かった。
何度も訪れたことがある城の大広間までの長い廊下。
若草色の毛足の長い絨毯は真っすぐに大広間まで向かっているんだけれど、まるで地獄までの道に見え足が先に進むのを拒んでいる。
脳裏に浮かぶのは断罪されているシルフィの静止画。
どうしても考えてしまう。断罪される未来の姿を──。
恐ろしさのあまり、私は奥にある扉を見ることができずに、ずっとアイザックの腕に顔を埋めてしがみついている。
「大丈夫だ。見てごらん?」
顔を上げてアイザックを見ると、真っすぐ正面を見ていたので、私も追うように顔を向けた。
そこにあるのは大広間へ通じる両開きの扉だ。
もしかして、扉になにかあるのだろうか? ……違う。扉じゃないわ!
アイザックが見ていたのは、扉ではなかった。
扉の左右にある壁にもたれている人たちを見ていたんだ。
「みんな!」
扉の前にいたのは、ウォルガー、マイカ、ルイーザ。それに、ラルフとマイヤーヌだった。彼らもアイザックのように正装をしている。
どうしてみんながいるのだろうか。
そういえば、屋敷でアイザックからみんなが待っているって聞いていたっけ。
「この世の美しさを凝縮したような綺麗さに神レベルの神々しさ。天使降臨の瞬間ですわ……!」
「マイカ、騒ぐならあの女たちをつぶしてからにしなさい」
「たしかにそうですわね。あの人をなめきっている男とシルフィ様の害にしかならない女を排除しなければ」
そう言うと、マイカはルイーザの方を見た。
「申し訳ありません。ルイーザ様の婚約者でしたわよね」
「今日で終わりよ。もうすぐ婚約破棄が決定されるんだから。ただ、今回の件は残念だと思うわ。大なり小なり情はあったから」
ルイーザはまぶたを伏せると複雑な表情を浮かべる。
馬車の中ではずっとアイザックが不安がる私の手を握っていてくれて、心強かった。
何度も訪れたことがある城の大広間までの長い廊下。
若草色の毛足の長い絨毯は真っすぐに大広間まで向かっているんだけれど、まるで地獄までの道に見え足が先に進むのを拒んでいる。
脳裏に浮かぶのは断罪されているシルフィの静止画。
どうしても考えてしまう。断罪される未来の姿を──。
恐ろしさのあまり、私は奥にある扉を見ることができずに、ずっとアイザックの腕に顔を埋めてしがみついている。
「大丈夫だ。見てごらん?」
顔を上げてアイザックを見ると、真っすぐ正面を見ていたので、私も追うように顔を向けた。
そこにあるのは大広間へ通じる両開きの扉だ。
もしかして、扉になにかあるのだろうか? ……違う。扉じゃないわ!
アイザックが見ていたのは、扉ではなかった。
扉の左右にある壁にもたれている人たちを見ていたんだ。
「みんな!」
扉の前にいたのは、ウォルガー、マイカ、ルイーザ。それに、ラルフとマイヤーヌだった。彼らもアイザックのように正装をしている。
どうしてみんながいるのだろうか。
そういえば、屋敷でアイザックからみんなが待っているって聞いていたっけ。
「この世の美しさを凝縮したような綺麗さに神レベルの神々しさ。天使降臨の瞬間ですわ……!」
「マイカ、騒ぐならあの女たちをつぶしてからにしなさい」
「たしかにそうですわね。あの人をなめきっている男とシルフィ様の害にしかならない女を排除しなければ」
そう言うと、マイカはルイーザの方を見た。
「申し訳ありません。ルイーザ様の婚約者でしたわよね」
「今日で終わりよ。もうすぐ婚約破棄が決定されるんだから。ただ、今回の件は残念だと思うわ。大なり小なり情はあったから」
ルイーザはまぶたを伏せると複雑な表情を浮かべる。