「待って。どういうこと!?」
「今、城で夜会が開催されているんですよ」
「えぇ、知っているわ。本来ならば、私も参加していたから……」
「お嬢様。さぁ、着替えの前に湯浴みとマッサージです。今日の香油はローズオットーですので香りがいいですよ。お嬢様、お好きですよね」
「えぇ、好きよ」
「さぁ、湯殿に参りましょうね」
「えっ、あの……本当に誰か説明を……」
戸惑う私をよそにテキパキとしたメイドたちによって準備を整えられて、私はあっという間にドレスに着替えさせられた。
髪型もすべてセットされ、宝飾品も身につけている。
今開催されている夜会に参加しろと言われてもすぐに参加できるような格好だ。
「さすがはお嬢様です。完璧に着こなしていらっしゃるわ! こういうデザインはミニム王国では見ませんが、かわいらしいですわね。ぜひ、うちの針子に見せたい」
「天使みたいでかわいいですわ」
姿見に映るのは、純白のドレスをまとっている自分の姿だった。
髪は下ろして右鎖骨付近でまとめルビーで作られたバラの髪飾りでとめている。
純白のドレスのデザインはネック部分がビスチェ風になっており、スカート部分はベルライン。
スカートは斜めにフリルとレースで段ができていて、下の生地にはブルーとピンクの宝石が夜空に輝く星々のように散らばり縫われている。
ミニム王国がある北大陸はシンプルなドレスなので、こういうデザインは絶対にほかの大陸のものだとは思う。
不思議なことにサイズはぴったりだ。
「ねぇ、そろそろ説明して」
私がメイドたちに言葉をかけると、みんな目配せし始める。
ひとりのメイドが扉を開けると、青年が立っていた。