「……ん」
 自分の意識がふわふわと浮上し、ゆっくりとまぶたを開けると、見慣れた天井が視界に広がっていた。

 私……あぁ、そうだった……意識が急に遠のいて目の前が真っ白になって……。

 ゆっくり身を起こそうとすると、「シルフィ」という声と共に背に手が回され起き上がるのをサポートされる。
 私の名を呼んだのは、覚えがある声。
 でも、声の主がここにいると思わなかったため、反射的に顔を向けて何度も瞬きをする。

 幻聴だったのかと思ったけれど、どうやら本物だったみたい。
かがみ込んだアイザックが私のフォローをしてくれている。

「アイザック、どうしてここに……?」
「気持ち悪さやだるさなどは?」
「えぇ、大丈夫」
「よかった。先生と教室で話をしていたら、エオニオとのことを知らせにきてくれた生徒がいたんだ。学園から追い出されたと聞き、急いで追いかけたらシルフィが屋敷の前で倒れたのが見えて……」
 アイザックは言葉尻を弱めると手を伸ばして私を抱きしめた。

 まるで二度と離さないとでもいうようにきつく抱きしめられたんだけれど、触れ合っている彼の体が震えていたので深い心配をかけたことを痛感した。