楽しかった夏休みが終わり新学期を迎えた。
学園の馬車止めで馬車を降りると、友人たちとの再会を楽しんでいる生徒たちの姿が目に飛び込んでくる。
みんな楽しそうに笑い合いながら校舎へと向かっていく。
たった一ヶ月ほどの夏期休暇だったはずなのに、なんだか懐かしい光景だ。
私も生徒の流れに乗り校舎へ足を踏み出せば、「シルフィ」と私の名を呼ぶ声と共に肩に優しく手を添えられた。
振り向かなくてもわかる。
──アイザックだ。
きっと世界で一番私の名前を優しく呼んでくれるのは彼かもしれない。
シルフィと名前を呼ばれただけなのに、まるで特別感があふれるから不思議。
ゆっくりと振り返ると、微笑んでいるアイザックの姿がある。
「おはよう」
「おはよう。あっという間だったな、夏休み」
「うん」
私たちはたわいもない話をしながら校舎へ入ると、昇降口のホールに人だかりができていることに気づく。
白を基調とした天井は金で縁取りがされ、ミニム王国の初代国王の戴冠式の様子が描かれている。
その下にはなにか珍しいものでもあるのか、生徒が数十人かたまっているのがうかがえる。
女子生徒の黄色い悲鳴や男子生徒の動揺する声をBGMにしながら、なにが起こっているのだろう? と首をかしげた。
人が集まりすぎてまったく様子を探ることができない。
「ねぇ、アイザック見える?」
「見えるよ。しかし、なぜ彼がいるんだ」
アイザックは訝しげな表情を浮かべながらつぶやくように言う。
「誰?」
「エオニオ王太子殿下がいる。制服着用しているから、通うんだろうな」
「通うって、なんで急に?」
純粋に心の底から思った言葉が口に出た。
学園の馬車止めで馬車を降りると、友人たちとの再会を楽しんでいる生徒たちの姿が目に飛び込んでくる。
みんな楽しそうに笑い合いながら校舎へと向かっていく。
たった一ヶ月ほどの夏期休暇だったはずなのに、なんだか懐かしい光景だ。
私も生徒の流れに乗り校舎へ足を踏み出せば、「シルフィ」と私の名を呼ぶ声と共に肩に優しく手を添えられた。
振り向かなくてもわかる。
──アイザックだ。
きっと世界で一番私の名前を優しく呼んでくれるのは彼かもしれない。
シルフィと名前を呼ばれただけなのに、まるで特別感があふれるから不思議。
ゆっくりと振り返ると、微笑んでいるアイザックの姿がある。
「おはよう」
「おはよう。あっという間だったな、夏休み」
「うん」
私たちはたわいもない話をしながら校舎へ入ると、昇降口のホールに人だかりができていることに気づく。
白を基調とした天井は金で縁取りがされ、ミニム王国の初代国王の戴冠式の様子が描かれている。
その下にはなにか珍しいものでもあるのか、生徒が数十人かたまっているのがうかがえる。
女子生徒の黄色い悲鳴や男子生徒の動揺する声をBGMにしながら、なにが起こっているのだろう? と首をかしげた。
人が集まりすぎてまったく様子を探ることができない。
「ねぇ、アイザック見える?」
「見えるよ。しかし、なぜ彼がいるんだ」
アイザックは訝しげな表情を浮かべながらつぶやくように言う。
「誰?」
「エオニオ王太子殿下がいる。制服着用しているから、通うんだろうな」
「通うって、なんで急に?」
純粋に心の底から思った言葉が口に出た。