「おかりなさいませ、ご主人様」
 配膳を終えた私は、入り口に向かうと口を開いた。

「やぁ、シルフィちゃん。相変わらず大人気だね」
「えぇ、おかげ様で……」
「かき氷の持ち帰りお願いできるかな? 団子付き小豆のかき氷ふたつ」
「かしこまりました。お時間いただくことになりますが、よろしいでしょうか?」
「もちろん」
 最初は持ち帰りできなかったんだけれど、あまりにも店が繁盛したため、急遽テイクアウト解禁した。
 ただし、かき氷が溶けるので持ち帰りはご近所さん限定だ。

「店内混んでいるから、邪魔にならないように俺たちは外で待っているよ」
「かしこまりました」
 私は軽く会釈をしてふたりを見送ると、オーダーのために厨房へ向かった。
 すると、ルイーザが調理台に立っているのが視界に入る。

 ルイーザはガリッガリッという氷の削れるリズミカルな音をBGMにして、必死の形相でひたすらかき氷機のハンドルを回している。