「名前はムーンだって。綺麗な黄金の瞳だから似合っているわ」
 人さし指を向けると、ムーンは近づき、くんくんとにおいを嗅ぎ始めた。

 触らせてくれるかな?

 そっと手を伸ばしてなでると、気持ちよさそうに目を細めて寝転がった。

「かわいいとなでたくなるよね」
「あぁ、なでたくなるな」
 そんなアイザックの声が聞こえた後、私の頭上に優しく大きな手が触れた。
 髪を梳くようになでられ、私は自分の膝に顔を埋める。

 なんでそう簡単に人の心を大きく動かしちゃうかな。
 本当に彼にはかなわないと、さらに強く思う夏休みだ。