「大丈夫だ。うちに戦をしかけようなんて国はないから。すまない、心配させた」
「ううん。私が勝手に心配になっただけだから」
 妙な空気がふたりの間に流れ始めたため、私はがらりと話題を変えることに。
「実用性がある植物が庭園に植えてあるのかぁ……なら、植物にも詳しいの?」
「人並みには」
「そっか。植物に詳しいから、花言葉にも明るいんだね」
「ちょっと違うかもしれないな。花言葉は、シルフィへのプレゼント選びのために覚えたんだ」
「私へのプレゼント?」
「そう。今までシルフィへ贈ったプレゼントを思い出してみて。時々、花や花をモチーフにした物を贈っていただろ? あれに俺の気持ちが込められているんだ。まだ伝えられない想いを」
「伝えられない想い……」
 私にもある。口にしてしまえば関係が壊れてしまいそうで怖い、そんな想い。

 でも、想いを伝えられずに友達関係を続けるのもつらい。
 だって、これから先の未来で彼に寄り添う女性が現れるかもしれないから。

 まだ見ぬ相手に対してヤキモチを焼いてしまう。
 ううん。ヤキモチなんてかわいいものではなく、嫉妬だ。
 こんなに誰かを想ったのは、初めてかもしれない。