「あのね、アイザック。私も同じよ。きっと五年間でアイザックと楽しかったことを共有している子たちがいたと思うの。その子たちがすごくうらやましいわ。あなたの隣で同じものを見たり感じたり……離れている私はできなかった」
私は心を吐露しすぎたことに気づき、口をつぐむ。
嫉妬したと遠回しに言ってしまっているじゃないか。
私がアイザックのことを好きだって気づかれたかな……?
顔を上げてアイザックを見ると、彼は頬を染め、片手で顔を覆うように押さえている。
「シルフィ。俺、そういうこと言われると、勘違いして期待するよ。まるで嫉妬しているように感じるから。おそらく、純粋に寂しいって言ってくれていると思うんだけれど」
「そ、その……それは……」
嫉妬していたので勘違いではない。
料理や服飾に関する前世の知識はあるのに、恋愛に関するスキルがないから前世の知識が使えなかった。
どうしよう……頬が熱くなり、胸がぎゅっとする。
頭の中が迷路のようにぐるぐるし始めた。
「シルフィ。大切な話があるんだ」
真剣な顔をしたアイザックは、私を真っすぐ見つめた。
青い瞳が私を捉えているのを感じ、鼓動が大きく跳ね、妙な緊張感に包まれたので、姿勢を正してしまう。
「シルフィと初めて出会ったあの頃から俺は──」
「シルフィ様。どちらにいらっしゃいますか? オオカミとご一緒なので心配です」
アイザックの言葉に重なるようにして、マイカの声が覆う。
大切な話を途中で遮られたため、アイザックは不完全燃焼状態のせいか固まっていた。