気まずくなり、微妙な距離ができてしまうかもしれない。そう考えると、告白することに対して前向きにはとらえることができなかった。
「シルフィ?」
心配そうなアイザックの声に対して、私は首を横に振る。
「なんでもないの。それより、外に騎士たちがいるのを見たわ。夜も見回ってくれているのね。休憩とか大丈夫かしら?」
「増援してもらったから交代制で休めているよ。警備の人間も多いからまた襲撃されるということはないだろう。だから、安心してくれ」
アイザックはそう言うと、腕を伸ばして私の頭をなでた。
「少し眠った方がいい。怖くて眠れないのならば、眠るまでそばにいるから」
「でも、忙しいんじゃ……?」
アイザックの手中にある書類を見ながら、私が言えば彼は肩をすくめる。
「問題ない。俺の最優先はシルフィだから。さぁ、中に入ろう」
扉を開けてもらって部屋の中へ。
私がベッドに横になり布団をかけたのを見届けると、彼はそばにあった椅子に座った。
「ねぇ、アイザック。お願いがあるの。いい?」
「もちろん。なんだ?」
「手を握ってくれる? 静寂が怖いの。まるで世界に自分以外誰もいないように感じてしまって……」
私は横向きになり布団から手を出すと、アイザックは腕を伸ばして手をつないでくれた。
大きな手のぬくもりは心地よくて安心する。
日向ぼっこをしているかのように、心身共にリラックスできているので眠れそう。
アイザックがそばにいてくれるだけで心強い。
「シルフィが無事で本当によかった」
「アイザックも怪我をしないで、無事でいてくれてよかったわ。小さな頃に願ったとおり、すごく強くなったね。あの時、アイザックが言っていたように私やウォルガーを守ってくれた。頼もしいわ。でも……」
私は馬車の中でのことを思い返す。
あの時は生きた心地がしなかった。アイザックが無事なのかどうかが気になって。
私は空いている手を伸ばしてつないでくれているアイザックの手を包む。
「お願いだから無茶しないでね。アイザックになにかあったら、私……」
想像しただけで胸が張り裂けそうになり、視界が滲んでくる。
失いたくない。アイザックのことを。
「シルフィ」
熱を含んだ声で私の名を呼んだ瞬間、部屋をノックする音が室内に届いたので、私たちは同時に手を離した。
角を曲がったらちょうど人と遭遇した時のように、心臓がびっくりして早鐘を打っている。