「何があったのかな?あの人…」

どうしても気になってしまい、さっきの姫が来た方向に行くことにした。


_こ、怖いけど…何があるんだろう?


恐る恐る前へ進むと、扉を見つけた。



_あそこに皇帝が?




扉が片方開いていて少し隙間が見えた。

そっと隙間から中を覗くと、そこはバルコニーだった。




_あれ?誰もいない?




白いバルコニーは二畳くらいの大きさで、下には中庭が見える。

空は晴れていて爽やかな風が頬をくすぐるような陽気だった。
とても気持ちの良い場所だ。

そこにある小さなテーブルには飲みかけのワイングラスが一つだけ置いてあった。



「なんだ、いないや」



緊張がほぐれたエレノアは椅子に座りうつ伏せになった。



_はぁ…なんだか疲れちゃった。広間に戻るの嫌だなぁ…



「帰りたいな…お母様…」


幼い頃に亡くなった母を思いだして、ホロッと涙が零れた。