「これは困りました。」

ネイファはチラリと大臣達を見て考える。

_確かに、いきなり妃をめとれと言われても、クロノス様は今までそんな話になど興味を持たれずこれまで戦の事ばかりやられてきた。
しかし、ドルーア帝国の世継ぎの為にも妃がいなければ話にならない。
何処かにあの方に似合う女性はいないものか…うーん…何か策を考えねば…


ネイファが唸りながら姫達のテーブルをすり抜けてゆく。

すると、あるテーブルのところで長い黒髪の姫がネイファを呼び止めた。


「そなた、皇帝の側近だったな」

「これは、ミネア王国のリリン姫。お久しぶりでございます」

姫は眉ひとつ動かさず冷静な話し方で言った。

「この馬鹿げた茶番はなんなのだ?この国の大臣がどうしてもというから来てやったというのに」

「申し訳ございません。皇帝と大臣とで考えがくい違っていたようで…」

「しかも正妃でなく側室とな?一体何人の姫をめとるきなのだ」

「私にもわかりかねます。皇帝の先ほどの言葉は半分嘘だと思ってはいるのですが…」

「確かにこんなに沢山いたら皇帝も面倒だろうな。どうだ?皆特技の一つもあるであろう。
明日残った姫達で特技を披露するというのは」

ネイファの瞳が瞬時に輝いた。

「リリン姫!とても良い案です!素晴らしい機転です!」

「それくらい誰でも思い付く」

「いや、正直先ほどの皇帝の言葉に、凍りつく姫君ばかりでしたから!ありがとうございます!」

ネイファはお辞儀をし、嬉しそうに早々と戻っていった。


「…」


リリンはそれを見つめながら妖しげにほくそ笑んだ。