皆様子を見ているのか、誰もクロノスに話しかけに行く気配はない。

ネイファがクロノスのグラスにワインを注ぐ。

「クロノス様、威嚇しすぎですよ。これでは誰もクロノス様に近寄れないではありませんか」

「ネイファ。これくらいが丁度いい。きっと我先にと女達は押し掛けてくるに決まっている。
父上の時に嫌になるほど見てきたからな」

「しかし」

「先走る気はない。ましてや側室なんていつでもどこでも作れるのだからな」

「そうですが、大臣達の目もあります」

「くどいぞ」

クロノスは眉をしかめ、広間にいる姫達をじろりと眺めた。

_ふん。ペットの金魚でもあるまいし、ヒラヒラと着飾って。自分を主張する女に興味はない。
女など全て同じ生き物だ。自分の地位の為に仲の良い友すら崖から突き落とせる。


「クロノス様、どちらへ!まだ始まったばかりです!」

「テラスに行く。俺の代わりに女達を選んでおけ」


ネイファを無理やり玉座に座らせ、クロノスは広間を後にした。