「ああ、君と同じ目だ。そして私の髪だね」



「ええ、ほら鼻もあなたと同じよ」



「ううん、自分ではわからないな。君に似ているように見えるよ」



「あなたにも似ていますよ」



 夫婦どちらも美形だがこの分ならきっと良いとこどりの顔だろうと父たる人物に手を伸ばす。

 うれしそうに指を差し出し、私の娘だと心底嬉しそうにほほ笑んでくれた。

 名前はどうしましょうね、と二人が話し始める。

 今世の私はなんという名で呼ばれるのだろう。アリスタでなければなんでもいいか。

 あの名前には思うところがありすぎる。呼ばれたらすぐ返事はしやすいかもしれないが呼ばれて嬉しい名ではなくなってしまった。

 前世の母よ、親不孝な私をお許しください、とアリスタは内心祈った。

 泣いたせいか、そして体力もないからかうとうとと睡魔に襲われる。寝てもいいだろうか。いいか。

 なんせ自分は生まれたばかり、赤ん坊は泣き、寝て、食べることが仕事なのだと意識をそっと手放した。