あの頃は、自分の家の事をなにも理解してなくて。




「笑ってる…」




幸せを全身で受け止めて生きていた。




昔の自分を撫でる私の親指が止まる。




「これ…お母さんの、字…?」




私を真ん中にして、右に立って写るお母さんの紺のワンピースの裾のところに、小さくお母さんが書いたであろう文字があった。