「陽斗くん……また都合悪くなったから逃げるの!?」


走り続けていた陽斗は、図星を言い当てられ立ち止まった。


「…………」

「陽斗くん。いつまで現実から逃げるの?ずっと向き合わずに逃げるの?そんなんで蝶子ちゃんと向き合ってるつもりなの?蝶子ちゃんはそんなあなたを望んでいるはずはないわ」



めくるめく記憶の断片。

蝶子。蝶子。蝶子。

お前は今の俺を見てガッカリしているのか?

見損なっているのか?


空を見上げたってお前はいない。

笑っても隣には蝶子はいない。

もうどこにもいない。