「勉強ばっかりしてても、つまらないでしょ?
俺たち高校生なんだから、もっと楽しまなきゃ」


そう言いながらも、片桐くんって私より頭いいんだよね。本当にいつ勉強してるか謎だ。


「でも……ゲームセンター怖い」


「え?……プッ、ハハッ。大丈夫だよ、ゲーセンがいきなり雨音に襲いかかるようなことはしてこないから。
それに、俺と2人なら安心でしょ?」


「なにも、そこまで爆笑しなくても。
もしかして、私がそういう場所知らないから気を遣ってるの?」


「ん?気を遣うってなんの事?」


本当に、気は遣ってないみたい。
てっきり、私が陰キャだからって思ってたけど。


じゃあ、本当にただゲームセンターに行きたいってこと?


「雨音には、もっと色んな場所を知ってほしいんだ。それに俺の彼女なんだから、付き合って。ねっ?」


「うん。……って、片桐くん!?」


秘密をバラされても困るし、ここは大人しく聞けってことだよね……と、思ったけど、今の片桐くんにそういう意図はなさそう。


どうやら、私の考えすぎだったみたい。


だって、私の手を掴んでいきなり走り出すんだもん。


しかも、無邪気そうな子供ぽっい笑みをしながら。


そんな表情を見せられたら、断ろうなんて考えはどっかに飛んでいっちゃう。


これから、片桐くんと放課後デート。


今まで恋人がいなかったから、私にとっては初めてのデートでもあるんだ……。


私は期待と不安を胸に抱えながらも、片桐くんの楽しそうな顔から目を逸らせずにいた。