放課後。
片桐くんから一緒に帰ろうと誘われた。


私は昼食のお誘いを断ったことが申し訳ないこともあって、その誘いを受けることにした。


そこまでは良かったんだけど……。


「雨音、今から放課後デートでもしない?」


ニコッと微笑みながら、私に聞いてくる片桐くん。


「え?でも……」


今日は帰ってから、勉強しようと予定を立てていた。


期末テストが近いことは、片桐くんも知ってるはずなんだけど。


「恋人といえば、放課後デートはお約束だよ。
そうだなぁ……雨音はさ、ゲーセンとか行ったことある?」


そんなお決まりなパターンみたいなこと言われても、恋人とデートなんてしたことないし。


「ゲーセンって、ゲームセンターのことだよね。名前は聞いたことあるけど、実際に行ったことはない」


だって、ゲームセンターって、不良のたまり場みたいなイメージがあるから。


今どきの若者は、ゲームセンターに寄り道したりするんだ。


そういうジャンルは、チャラい人とかギャル系が好き好んで足を運ぶものだと思ってた。


これは、私のただの偏見だから、失礼に値するかもしれない。


って、私も今どきの子なんだけど。一応、女子高生なわけだし。


私はカフェとか、美味しいものを食べられる場所のほうが……って、食い意地が張ってる女の子だと思わそうだから、今のは黙っておこう。


でも、100%興味がないと言ったら嘘になる。私だって青春らしいことはしたい。


だけど、そんな場所に1人で行くなんて……陰キャの私には、とてもじゃないけど無理。