最初は見つかって気まずいとは思ってたけど、普通に話せてる。


神楽と話してると落ち着く。やっぱり友達って良いな……。私には、数少ない友達の1人だし。


「でも昨日までは、あれだけチャラいとか言ってたのにな。正直、付き合ってるって聞いて驚いた」


「チャラい部分もあるんだけど、優しいところもあるんだ……」


おかしいな。神楽の言ってた通り、昨日のお昼までは片桐くんをただのチャラ男だって思ってたのに……。


だけど、話すたびに色んな表情を知って、片桐くんに対する印象が変わった。


ただ好きって言えないのは、まだ戸惑ってるし、素直に気持ちを伝えられないから。


片桐くんを見るとドキドキして、いつもの私よりも臆病になってしまう。


神楽とは普通に話せるのに。


どうして、“好き”って、たった2文字が言えないんだろう。


「俺にはよくわからないけど、雨音がいうんだったら、そうなんだろうな。でも、たまには俺とも一緒に昼飯を食ってくれ。前みたいにずっと一緒にいなくてもいいから……」


「そんなの当たり前だよ。神楽は中学の頃から仲のいい友達なんだから。今では親友だって思ってるよ」


ニコニコと微笑む私。本当に嬉しいと思ってる。こんな私に優しく接してくれるし。


「友達、か。それと雨音、その顔は反則だ。
……こんな姿見たら、片桐だって好きになって当たり前だよな」


「その顔って、どの顔?」


「お前は、そのままでいてくれ。
逆に変な色気でも出たら、俺が困るし」


「う、うん?」


神楽の言ってる意味がよくわからない。けれど、昨日と同じように会話出来てるし、ひとまずは安心かな……と安堵する私。


だけど、神楽の耳が少しだけ赤かったのは何故だろう。