「片桐くんと一緒に食べようと思ったんだけど、私はちょっと用事があって。だから、1人で食べようかと思ってね、あはは……」


苦し紛れの言い訳。でも、嘘はついてない。


用事っていうのは、腕の手当てで保健室に行っただけだから、用事ってほどのことでもないんだけど。


「そうか。って、その腕どうしたんだ?朝、見たときはなかったみたいだが」


「え?体育の授業でぶつけちゃっただけ。血とか出なかったし大丈夫だよ。神楽が思ってるほど大した傷でもないし」


「そういう問題じゃないだろ。まぁ保健室には行ったみたいだし、これ以上追求はしないが」


めちゃくちゃ心配されてる。
やっぱり神楽って、心配性だなぁ。


「傷が残ったりしたら大変だしな……。雨音は片桐と付き合ってるんだし、アイツも心配してたじゃないか?」


「心配……された」


あれは心配というか、なんだろう。


保健室に行けって言われてから、すぐに腕におまじないをかけられた。


口じゃないとはいえ、あれは結構恥ずかしかった。


さっきのことを思い出すと、みるみるうちに顔が熱くなっていく。


「そこまで片桐のことを好きなんだな。少し、アイツのことが羨ましく思うよ」


神楽は私と片桐くんが本当の恋人だって思ってる。


そっか、神楽は好きな人がいるって言ってたし……。


あの会話を聞く限り、相手に片想いしてるんだよね。