「なぁ、あれって九条さんじゃね?」


「ホントだ。って、あれ?隣にいるのって、もしかして片桐くん!?」


(さっそく、注目の的になってる)


校門をくぐると、生徒たちがたくさん。


朝だから当然なんだけど、私と片桐くんのセットが珍しいのか、すれ違うたびに驚かれている。


「九条さんは陽キャだとは思ってたけど、まさか片桐と付き合ってるなんてなぁ」


「陽キャ同士だから、むしろお似合いって感じがする~!それに美男美女だし♪」


片桐くんはそうかもしれないけど、私はそうじゃない。って、また良からぬ誤解が生まれた。これも片桐くんのせい。


「お似合いって言われちゃったね、雨音。まぁ、これだけ密着してたら勘違いされても仕方ないよね」


「……」


さっきは軽く手を繋ぐだけだったのに、いつの間にか恋人繋ぎになってるし。しかも、片桐くんはベッタリと言っていいほど、私とほぼゼロ距離。


いくら女の子避けとはいっても、ここまでしなくても……。


「雨音、おは……って、片桐と何やって」


「神楽、お、おはよう」


神楽、なんて間の悪いタイミングで来るの?


どうしよう。昨日までは、普通に話してたのに今は話しづらい。


それは相手も同じことを考えていたようで、神楽は私以上に反応に困っていた。