「当然って……私はあくまでも彼女の“フリ”をするって、昨日話さなかった?」


うぅぅ。今の発言は冷たすぎ。


さすがの片桐くんでも、心が折れたよね。


私ってば、どうして素直に「ありがとう」の一言が言えないの?


「フリでも、彼女は彼女だよ?今の恋人は雨音なんだから。それに、前に付き合ってた彼女とはキッパリ縁を切ったし。もし、雨音が他の女子と話すなって言うんだったら、そうするし」


「え……」


ホントに?


私が言ったら、本当に他の女の子と話さないの?


「まぁ、相手から話してきたら相手はそれなりにするけどね。俺ってファンが多いから」


「本当の恋人じゃないんだから、そこまで束縛するつもりはないから」


今の恋人は“ワタシ”


そんなこと嬉しいことを言われたら、いやでも口元が緩みそうになる。


後半に、またしてもチャラい発言をしてたような気もするけど、それは今の私の耳には入ってこない。


嬉しくて、嬉しすぎて、たまらない。


そういえば、片桐くんから好きだって言われたっけ?


ふと、そんな疑問が頭によぎった。


でも、私だって好きだって言ってないし。


そもそも、今まで片桐くんが私の幼なじみだって気付かなかったから、むしろ驚きのほうが大きいというか。


あれだけチャラい男だって、成績を追い抜いてみせるんだ!って思ってた。


だから、どう接していいか未だにわからない。


私は戸惑ってるんだ。