皆がそれぞれ忙しい日々を送り、早くも年末を迎えようとしている。

結局私の誕生日は、お祝い、なんて雰囲気になる余裕はなかった。
レポートに追われ、怜は仕事に追われ、詩壇くんはその両方。一体いつ寝ているのだろうか。

「じゃ、しばらく帰ってこないけど、部屋あんま散らかさないでね。よいお年を」
「気つけろよ。よいお年を」
「はーい」

先ほど自主レッスンを終えて帰ってきたばかりの怜。
大きなあくびをしながらもお見送りをしてくれた。

冬休み一日目の真昼間、彼を置いて私は実家に帰る。
と言っても、電車に2、3時間も揺られれば着くのだけれど。

あ、ご飯のこと言い忘れた。

『おかず作り置きしておいたから食べてね』

そう送るとすぐに既読がつく。

『助かる』
『少ね』

逆掌返し。苦笑してスマホを閉じた。

窓の外、緑が増えていく景色を眺める。
心なしか冷え始めた車内に思わず震えて、早く寝てしまおうと目を閉じた。