ほんわりとした気持ちのまま帰宅して、誰もいない部屋を見たときどこか安堵した。
ほっとした自分に、いやいやなにが「ほっ」なんだ、と焦る。
別に、やましいことなんて何もないし。
あったとして、別にここに怜がいるということとはなにも関係がないはずなのに。
いかにも女の子らしいブランドの箱。欲しいけど、自分には買わないような鏡。
私にはもったいない。
どんな気持ちが込められているのか。
考えたくないのにさっきの出来事が頭をよぎる。
傷つかないように優しく化粧台に置くと、私の簡素なドレッサーが輝きだした。
これがブランド力……。
早くもお気に入りだ。可愛くてブランドという価値があるからだけじゃない。
私の推し――じゃなくて、一人の友人として、詩壇くんがくれたから。
「で、でも好きになってしまうよこんなの……」
思わず頭を抱える。
気の多い私。
DDにも優しい彼ら。
効果はバツグンだ。