ひとしきり馬鹿騒ぎをしたのち、怜は電池が切れたかのように眠り始めた。

手塚くんも顔を真っ赤にしてぶつぶつ言っている。かと思うと急に怜を揺さぶり始めた。


「ちょっと、やめなよ。寝かせてあげて」
「なんでだよ……こいつだけこんな幸せな誕生日、俺は認めない」
「理不尽すぎる」
「時森、俺の誕生日本人不在の誕生日とか言って写真上げてたけど、なんで呼んでくれなかったんだよ……。
メッセージもくれないのにつぶやいてるのはなんなんだよ……」
「手塚くん? 自分の立場わかってる? 気を遣ったんだよ私は」


この際アカウント監視されていることに関してはもう何も言うまい。今更だ。


「よしよし、来年は詩壇の誕生日も四人で祝おうね」
「うーー」


強制的に怜の横に寝かされる手塚くん。さすがは茶川さん、扱い方をよくわかっている。

……あと、お酒は苦手ではないってインタビューでは言っていたくせに、甘ったれになる酔い方の兎束壇、正直かなり可愛い。

オタク人格が芽生えてきたので咳払いをして振り払う。
今の私は怜の保護者だ。


「今日はありがとね、時森さん。二人ともいいリフレッシュになったと思うよ。俺も楽しかった」
「いえ、そんな……お忙しい中お誘いしたのに、ありがとうございました」


結構な量を飲んでいるはずなのに、茶川さんの表情はちっとも変わらない。相当強いのだろう。


「怜、今日は嬉しかったと思うよ。多分――人生で一番ぐらい」


そうだったらいいんですけど、と笑う私に、彼は力強い光を灯らせた瞳を向ける。


「大丈夫だよ。すっごくはしゃいでたから、詩壇もね。二人があんなに楽しそうなのは久々に見たな」


言葉を止め、お酒を一口。私も喉を潤す。
部屋は蒸し暑くて乾燥していた。