高校一年生の夏、あたしに彼氏ができた。同じバスケットボール部の男子で明るい笑顔に惹かれていったんだ。

一緒にバスケットボールの練習をして、帰り道にアイスクリームを買って食べて、部活やバイトが休みの時にお祭りや動物園にデートに行って、毎日すごく楽しい。まるで奇跡みたいに……。

廉(れん)との思い出を振り返りながら、あたしは空港内を歩く。あたし、ちゃんと笑えてるのかな?不安が込み上げて、手鏡を何度も見てしまう。よし、大丈夫。

笑って見送るんだ。大丈夫!たったの四年じゃない!そう言い聞かせてみるけど、心のどこかでは悲しさがあふれようとする。それを必死で押さえつけて無理やり笑った。

「ひなた!見送りに来てくれてありがとう」

太陽のような笑顔を見せて廉は笑う。たくさんの人に見送られて、本当に廉は人気者だね。きっと向こうでもうまくやれるよ。

廉は今日、アメリカに留学するために旅立つ。英語を活かした仕事をするのが廉の夢。その夢をあたしはずっと応援してきた。だから、笑って見送らないと……。