誰もが寝静まる午前零時。美しい月が輝き、街は静まり返っている。僕と彼女の秘密の時間が幕を開けるんだ。

「ジュリエット、こんばんは」

警備の目を潜り抜け、俺は今、この街一番のお金持ちの屋敷にいる。そして大きな木の上に登ってバルコニーに降り立つと、ネグリジェを着て美しいブランドの髪をした女性が窓を開けてくれるんだ。

「また来たの？懲りないわね」

ジュリエットは呆れたように言う。そんな顔もとても美しい。俺は彼女に一目惚れをし、こうして毎晩のように彼女に会っているんだ。

どうして堂々と会わないかって？それは俺は平民で彼女は貴族だから。身分の差が大きすぎる。それに彼女はお金持ちの息子とお見合いをしてるって話だからね。

「男を次々と振って男泣かせとまで言われている私に懲りずに会いに来るなんて、あんたぐらいよ」

ジュリエットはそう言いつつ、俺を部屋に入れてくれる。お嬢様らしいロココ調の家具が置かれた豪華な部屋だ。そのソファに二人で腰掛ける。