「桜庭」
私の名前を呼ぶ一ノ瀬さんの声は、とても温かで優しかった。
「ちょっとだけ時間をください」
「わかった」
唐沢さんと室井さんに向けて一ノ瀬さんが言った。
「悪いね、少しだけ待って」
私達の後ろからついて来ていたメイクとスタイリストにも同じように言った。
一ノ瀬さんは私の手を引いて、控室に戻った。
「こんなことをさせてしまって申し訳ない。上司として、本当に悪いと思ってる。何もしなくていい、俺に身を委ねて少しの間、頑張って欲しい」
「……一ノ瀬さん」
緊張と不安で、私は正直泣きそうだ。目だったところも人に自慢できるところもない平凡な女だ。
一ノ瀬さんは繋いだ手をさらに引き寄せ、私を抱きしめた。
「気持ちを入れて……俺が隣にいるから」
「……はい」
背中をトントンと優しくリズムよくあやすように叩く。それが私を落ち着かせて行った。
「行こう」
手を繋いでゆっくりとスタジオに入ると、静まりかえってなんとも言えない雰囲気だった。
「すみません、始めましょう」
「よし」
セッティングされたベッドに一ノ瀬さんが最初に入ると、バスローブを脱ぐ。下はシルクのウエアを着ていた。
スタイリストが背後から一ノ瀬さんに白いシャツを着させる。私はバスローブの胸元をギュッと握っていた。
「おいで」
一ノ瀬さんが手を差し伸べ、私はその手を取る。ベッドに入ると、
「桜庭ちゃん、脱げる?」
もっと若ければ泣いて駄々を捏ねられたはず。
さすがにそれは通用しない年齢だ。
バスローブの紐をほどき、一ノ瀬さんに背を向けて脱ぐと、すかさずメイクが髪を直しに入った。
私の名前を呼ぶ一ノ瀬さんの声は、とても温かで優しかった。
「ちょっとだけ時間をください」
「わかった」
唐沢さんと室井さんに向けて一ノ瀬さんが言った。
「悪いね、少しだけ待って」
私達の後ろからついて来ていたメイクとスタイリストにも同じように言った。
一ノ瀬さんは私の手を引いて、控室に戻った。
「こんなことをさせてしまって申し訳ない。上司として、本当に悪いと思ってる。何もしなくていい、俺に身を委ねて少しの間、頑張って欲しい」
「……一ノ瀬さん」
緊張と不安で、私は正直泣きそうだ。目だったところも人に自慢できるところもない平凡な女だ。
一ノ瀬さんは繋いだ手をさらに引き寄せ、私を抱きしめた。
「気持ちを入れて……俺が隣にいるから」
「……はい」
背中をトントンと優しくリズムよくあやすように叩く。それが私を落ち着かせて行った。
「行こう」
手を繋いでゆっくりとスタジオに入ると、静まりかえってなんとも言えない雰囲気だった。
「すみません、始めましょう」
「よし」
セッティングされたベッドに一ノ瀬さんが最初に入ると、バスローブを脱ぐ。下はシルクのウエアを着ていた。
スタイリストが背後から一ノ瀬さんに白いシャツを着させる。私はバスローブの胸元をギュッと握っていた。
「おいで」
一ノ瀬さんが手を差し伸べ、私はその手を取る。ベッドに入ると、
「桜庭ちゃん、脱げる?」
もっと若ければ泣いて駄々を捏ねられたはず。
さすがにそれは通用しない年齢だ。
バスローブの紐をほどき、一ノ瀬さんに背を向けて脱ぐと、すかさずメイクが髪を直しに入った。