制作発表当日。
今日も暑い、暑い、暑い。だけど、一ノ瀬さんだけは爽やかだ。というより、クール。
私は汗かきじゃないけど、尋常じゃない汗が出ている。着替えを持って来て良かった。
制作発表が行われるホテルでは、報道陣が既に場所取りを始めていた。
控室では打ち合わせをしながら、出演者のメイクが始まった。
大ホールの後ろでは、私と一ノ瀬さんが、テーブルを並べて、飲み物や軽食、差し入れのセッティングに大あらわだ。
企画制作がシャインプロダクションの為、何もかも指揮してやらなくてはならない。
瑞穂がいてくれれば少しは楽になったのに。
「桜庭、そっちもって」
「え? あ、はい」
長方形のロングテーブルの両端を持って、セッティングする。
廊下や控室は人であふれて、廊下を通るだけでも人を掻き分ける状態だ。まるで竹下通りみたいだ。
「飲み物はホテル側がセッティングしてくれるそうなので、お菓子とかを置きましょうか?」
「そうだな」
午後1時からの制作発表で、昼食をとっていないスタッフが多い。
出演者のこだわりの差し入れが、ありがたくも更にお腹を空かせる。
二人でその差し入れを吟味して、お互いに笑った。
控室は仕度を終えた役者たちでいっぱいになり、新人は先輩俳優の気配りで落ち着かない。
女優にストローは必須アイテムだ。飲み物すべてにストローを指す。
ビュッフェ形式で差し入れなどを置き、テーブルを整えると、やっと一息つくことが出来た。
「ひと段落ついたな」
「はあ、疲れた」
だが、まだ座ることは出来ない。
現場に行けば事務所のスタッフがいるから何とかなるだろうと思っていたけど、それどころじゃないようで、大きな声が飛び交うごった返した状態だった。
思わず、一ノ瀬さんと顔を見合わせると、彼は肩をすくめた。
記者会見が始まる時間になり、呼び込みがある。役者やそれに付いて行くスタッフが一斉に動き出す。
一ノ瀬さんと私は、壁に背を付けるようにして道をあけ、いってらっしゃいと声を掛けた。
スタッフを含め最後の一人を見送ると、さっきまでの騒々しさが嘘のように静まり返った。
「お茶でも飲みます?」
「そうだな」
「コーヒーですか? それとも他の?」
「う~ん、冷たいウーロン茶を先に一杯」
「分かりました」
一ノ瀬さんも私も、喉がカラカラだ。お互いが飲むウーロン茶を入れると、まずは一気に飲み干す。
「あ~美味しい」
がらんとなった控室で、一ノ瀬さんと私は、暫く無言になった。疲れすぎて、ぼーっとしてしまったのだ。
今日も暑い、暑い、暑い。だけど、一ノ瀬さんだけは爽やかだ。というより、クール。
私は汗かきじゃないけど、尋常じゃない汗が出ている。着替えを持って来て良かった。
制作発表が行われるホテルでは、報道陣が既に場所取りを始めていた。
控室では打ち合わせをしながら、出演者のメイクが始まった。
大ホールの後ろでは、私と一ノ瀬さんが、テーブルを並べて、飲み物や軽食、差し入れのセッティングに大あらわだ。
企画制作がシャインプロダクションの為、何もかも指揮してやらなくてはならない。
瑞穂がいてくれれば少しは楽になったのに。
「桜庭、そっちもって」
「え? あ、はい」
長方形のロングテーブルの両端を持って、セッティングする。
廊下や控室は人であふれて、廊下を通るだけでも人を掻き分ける状態だ。まるで竹下通りみたいだ。
「飲み物はホテル側がセッティングしてくれるそうなので、お菓子とかを置きましょうか?」
「そうだな」
午後1時からの制作発表で、昼食をとっていないスタッフが多い。
出演者のこだわりの差し入れが、ありがたくも更にお腹を空かせる。
二人でその差し入れを吟味して、お互いに笑った。
控室は仕度を終えた役者たちでいっぱいになり、新人は先輩俳優の気配りで落ち着かない。
女優にストローは必須アイテムだ。飲み物すべてにストローを指す。
ビュッフェ形式で差し入れなどを置き、テーブルを整えると、やっと一息つくことが出来た。
「ひと段落ついたな」
「はあ、疲れた」
だが、まだ座ることは出来ない。
現場に行けば事務所のスタッフがいるから何とかなるだろうと思っていたけど、それどころじゃないようで、大きな声が飛び交うごった返した状態だった。
思わず、一ノ瀬さんと顔を見合わせると、彼は肩をすくめた。
記者会見が始まる時間になり、呼び込みがある。役者やそれに付いて行くスタッフが一斉に動き出す。
一ノ瀬さんと私は、壁に背を付けるようにして道をあけ、いってらっしゃいと声を掛けた。
スタッフを含め最後の一人を見送ると、さっきまでの騒々しさが嘘のように静まり返った。
「お茶でも飲みます?」
「そうだな」
「コーヒーですか? それとも他の?」
「う~ん、冷たいウーロン茶を先に一杯」
「分かりました」
一ノ瀬さんも私も、喉がカラカラだ。お互いが飲むウーロン茶を入れると、まずは一気に飲み干す。
「あ~美味しい」
がらんとなった控室で、一ノ瀬さんと私は、暫く無言になった。疲れすぎて、ぼーっとしてしまったのだ。