「ふっ、ふふふっ、お、お義姉さん、たら………」

息も絶え絶えに笑う杏花さんも可愛い!!
思わず見とれていると、やっと笑いを収めた杏花さんが、涙を拭きながら口を開いた。

「──お義姉さん、逆転の発想はどうだろう」

「逆転の発想?」

「そう、修兄の花婿姿は想像できるんでしょ?

だったら、和装と洋装の修兄、どっちが見たい?」

小首を傾げて悪戯っぽく微笑んで、杏花さんが問う。

───そっか、そういうのもアリだ。
どうせ私自身を見ることは、あんまりないんだし。

でも修一さんは、和装も洋装も、どっちも滅茶苦茶素敵だと思う。
甲乙つけ難いとは、こういうことを言うんだろう。

──これはこれで困ったぞ。


机に視線を落として、ウンウン唸りだした私。

ふと、杏花さんの方を見ると、バッチリ目が合った。
そのままとても嬉しそうに微笑まれたので、どうしたんだろうと小首を傾げる。

「杏花さん?どうかした?」

「うん、嬉しいなって思って。

結婚式っていう、ある意味花嫁さんのためのイベントで、修兄のことをまず考えてくれる人がお義姉さんになってくれて、本当に良かったなって思って」

にっこり笑って、真っ直ぐそんな事を伝えてくれるとこ、修一さんとそっくり。
顔はそんなに似ていないけど、雰囲気は良く似ている兄妹だわ。


そんな事を思いながら、ネットで男性用婚礼衣装を検索して、杏花さんとああだこうだと話し合う。

30分くらい話したところで、洋装がいいのではないかということで落ち着いた。

勿論、修一さんにも確認してから決めるけどね!

「じゃぁ、次はお義姉さんのウエディングドレスね」

これもネットで検索してみるも……

うわぁ、Aライン、マーメイドライン、プリンセスライン……色んな形があって、訳がわからない。

「うーん………よくわからないなぁ。

杏花さん、プロとしては、私にはどんなのが似合うと思う?」

「そうねぇ………」

検索した画像を見せつつ、ドレスも検討。

「やっぱり、オススメはAラインかな?

でもデザインによっては他の形も素敵なのがあるから、色々試着してみるといいよ。

あっ、オーダーもまだ間に合うと思うよ」

そうなんだ。知らないことばかりだ。
分からないついでに、試着につきあってもらえないかな。
頼んでみると杏花さんは、結婚前か新婚旅行後なら、いつでも付き合うと言ってくれた。

岬は、唯人がいるからあまり付き合わせられないし、頼りになるアドバイザーがいて安心だ。


何だか、段取りを組んで一仕事終えた気分で、私は気を抜こうとした。