さて、今度は私の番だね。
「杏花さんは、来月だね。楽しみだね!」
急遽だけど、杏花さんが席を作って誘ってくれたので、私も参加するのだ。
それは幸せそうに微笑んで、杏花さんも答える。
「そうそう、仕事も先週で完全に終わったしね。
私たちの結婚式は、去年の今頃予約したから、結構のんびり準備できたんだぁ。
ウェディングドレスも何着も試着して、納得いくのがなかったから、結局オーダーしたし。
やっぱり結婚式の醍醐味って、普段着られないドレスを着ることだよね」
力説する杏花さん。
とても生き生きと輝く、花の顏(かんばせ)。
素敵な服を着慣れているモデルさんでも、やっぱり自分の結婚式は違うのかな。
「でも杏花さん、お仕事で着たことあるんじゃない?」
遠慮なく、聞いて後悔。
自分の結婚式だもの、特別に決まってる。
でも、杏花さんは気にした風もなく、あっけらかんと答える。
「ふっふ~ん、実は私、ウェディングドレスのお仕事は拒否してたんだぁ。
だって、婚期遅れるっていう伝説あるし?
私、とにかく早く友紀と結婚したかったからね!」
悪戯っぽく微笑んだ杏花さん。
どれだけ婚約者さんが好きなのか、私にも伝わってきてしまう。
こんな美人さんにここまで愛されて、婚約者さんは幸せだ。絶対。
私も幸せを分けてもらって、ほんわかした気分になった。
「──あ、つい私の話をしちゃった。
今日はお義姉さんたちの話を、根掘り葉掘り聞くつもりだったのに!!
よし、まずお義姉さん、ドレスはどんなのにしたの?着物?
式はチャペル?それとも神前?」
怒濤の質問攻めに、ウッと詰まってしまった。
──杏花さんに、聞いてもらうつもりだった。
最近の、胸がモヤモヤした感じを。
でも、修一さんの妹である杏花さんに、相談していいことなんだろうか──。
堂々巡りをしそうになって、ふう、と息をついて、私は話す決心をした。
修一さんをよく知る杏花さんが、今回の相談には最適の人のはずだ。
「あのね……。私、結婚願望って全くなかったの。
だから、急に結婚することになって、結婚式とか全く想像がつかなくて……。
正直、こう、具体的になってくると、どうしていいかわからないの……」