部屋には シャンパンが冷やして置かれていた。夜景を観ながら改めてお祝いしてくれる。
「七海 お誕生日おめでとう…気に入ってくれるといいんだけど」
彰くんの声が強張ってように聞こえる。緊張してるの?
「ありがとう」と受け取った。
手のひらより少し大きめの長方形の箱、包みを開けるとネックレスだった。
ホワイトゴールドのチェーンにタンザナイトのネックレス 、 私の誕生石だ。
綺麗な青紫で早速付けてみようとすると、彰くんが後ろに廻り金具を留めてくれた。ちょっと恥ずかしかったが、少し憧れていたシチュエーションに萌えてしまう。
「似合ってるよ 気に入ってくれた?」
「うん 大切にするね…」
彰くんの視線が外の夜景に向けられるので、私も夜景を眺める。
「月が綺麗ですね」
「えっ?!」夜景の中に月は見えない。もしかして私の言葉に気付いてくれたの?それならとても嬉しい。窓の外を眺める彰くんの横顔はほんのり赤かった。
「私にとって月はずっと綺麗でしたよ」
私が返事をすると彰くんがやっとこちらを向いた。
お互い体ごと向き合った。
「山内 七海さん オレと付き合って下さい」と手のひらに小さな箱を乗せて差し出された。
「はい、よろしくお願いします」
と小さな箱を受け取った。
「彰くんプレゼント2つもいいの?」
「いいんだよ、意味が違うんだから」
「意味?」
「誕生日とオレたち2人の記念かな」
「ウフッ、ありがとう…開けていい?」
「もちろん 開けてみて」
「可愛い!えっ?鍵か付いてるよ」
「オレの部屋の鍵 いつでも来て」
「ありがとう」
2人で微笑む。これ以上のプレゼントなんてないよ。感激して彰くんに抱きついた。23歳の誕生日は 特別な日となり長い夜を2人で過ごすが、なかなか離して貰えないとは予想していない七海だった。