何も言えなかった。
七海と付き合っていると思ってたけど、オレが勝手に思ってただけで実際は彼女扱い出来ていなかったのか?
自分の楽しみ優先して、七海との時間は優先していなかった。
七海はデートを我慢していたのだろうか?
あの電話からすれば我慢している証拠だよな。気付けば、自分の部屋にたどり着いていた。
オレにとって七海ってなんだ?
七海がいなくなったらオレはどう思う?
七海の笑顔が見たい
七海の喜ぶ顔が見たい
七海の声が聴きたい
七海に触れていたい
七海の寝顔が見たい
七海と笑い合いたい
七海を守りたい
七海の隣にいたい
七海と一緒にいたい
七海とずっと一緒にいたい
七海がいなくなったら、オレは耐えられない
これほど七海を求めているのに、
気付くの遅いよな。
なんでこの部屋に呼ばなかったのだろう?見渡せば、普通ならお揃いのカップがあってもいいのに、オレの部屋は夏と変わりなかった。七海の影はない。
週末に七海をこの部屋に呼んでここで話そうと決意した。
それまでに七海のものを揃えよう。
翌日は残業せずに買い物へ行く。
七海が気に入りそうな部屋着やタオル 七海愛用のシャンプー 歯ブラシ カップを買って来た。部屋も念入りに掃除する。
金曜日は残業になってしまったが 、七海の合鍵とキーケースを買いに来た。
合鍵を作って、下調べしていた革製品専門店にキーケースを買いに行く。七海は喜んでくれるだろうか?
プレゼント用に包装する前に鍵をつけもらった。
七海が部屋にいる様子を思い浮かべ意気揚々と歩く。ケータイの着信音がなるので確認すると隼からの電話だ。
『 もしもし?』
『 彰汰?』
『 そうだ 何だ? 』
『 あのさ 彰汰の彼女の名前 ”やまうちななみ”で合ってる?』
『 合ってるよ 』なんだ?
『 今さ 駅前の居酒屋なんだけど、隣の部屋にきっと彰汰の七海ちゃんがいる。でもフリーになっていて同僚から狙われているぞ! これからカレカノになってイルミネーション観に行くって話してた』
『 えっ?七海が?直ぐに行くから居酒屋の場所 ケータイに送ってくれないか?』
『 了解 』
『サンキュー』
電話を切りながら急いで駅前に出る。
『フリー』ってなんだよ!やはり七海はオレとのこと彼氏と思っていなかったって事か?焦りが込み上げてくる。
送られて来た場所を確認すると直ぐに分かった。居酒屋の前に着き 隼に連絡する。
《 居酒屋の前に着いた 》
《 もう店出そうだぞ 席立ち始めた 》
《 了解 店の前で待つよ 》
《 頑張れよ 》
《 本当ありがとう また連絡する 》
何人か店から出てくる。最後に七海が出て来たので腕を掴んで捕まえた。
驚いていたがオレも余裕がない。
「 話しがあるから一緒に来て」
「これからイルミネーション観に行くから一緒には行けない 」と七海は首を横に振る。
「オレと明日観に行きたかったんだろ?」隼の言った通りだな、だけど
他のヤツとは行かせない。
「そうよ、でも一緒に行けないんだからいいじゃない」
手を振り払われてしまったが、諦めるつもりはない。
同僚と合流するのを阻止して 「 こいつ酔っているようなので連れて帰ります 」と宣言すると、 皆驚いている。
「 大丈夫なのか?」と七海に聞くヤツがいる、コイツが七海を狙っているのか?
「 大丈夫」と七海の答えに安堵する。
「神崎さん こんばんは」振り向くと進藤さんだった。
「こんばんは」と会釈する。状況を察したのか同僚は「じゃあ またな」と帰って行った。
「 彰汰か?」誰だ?
「 拓馬?」拓馬も高校の同級生だ。
「 高校の同級なんだ」 拓馬は驚いる2人に告げる。2人を知っているのか?
「 彰汰、ちょっと2人だけでいいか?」
「 逃げるなよ 」と七海に念を押し拓馬に駆け寄った。
「 彰汰お前が七海ちゃんの彼氏だったのか? 本気か?遊びか?」
「 知ってるのか?」
「 会社が一緒だし、七海ちゃんの親友の進藤綾乃と付き合っている。だから七海ちゃんの状況だけは知っている。遊びなら別れてくれ 」
「 オレ 酷いことしていたのに気付いていなかった。本気なんだ、話し合うよ、今日は七海の合鍵を作ったんだ。これからは大切にする。見守っていてくれ 」
「 信じていいのか?」
「 ああ」と頷く。
「 なら、オレからのアドバイスだ 。明日必ず七海ちゃんと会う時間作ってやれ、絶対だぞ !作れないなら別れてしまえ」
「明日って何かあるのか?」
「それは、彰汰次第かもな」
言い捨てたら話しは終わったのか、 観限れたのか、拓馬は進藤さんの側へ行ってしまった。明日って何があるんだ?気になるがオレも待たせていた七海の元へ戻る。
「帰るぞ」離したくなくて手を繋ないだ。
「きちんと話しなね、おやすみ」と綾乃ちゃんに言われ
「 おやすみ 」と七海と返した。