彰汰side

 残暑なのに、猛暑が続き今日も暑い。

 高校サッカー部から腐れ縁の柴崎 隼(しばざき はやと)と フットサル用品を買いに行くため待ち合わせをした。もうすぐ待ち合わせの場所に着く頃、《ごめん!30分程遅れる》と連絡が入る。

 この暑さで 喉も渇いたので、カフェに入った。アイスコーヒーを頼み店内を見回すが、空きそうな席はない。近くの席からハンカチが落ちた。 本人は気付いていないので、拾ってあげた。

「あの、これ落ちましたよ」声を掛けると思いの外驚いている。声が大きかったかな?次に顔が赤くなり固まる。ハンカチを差し出したら「 ありがとうございます 」とお礼を言われた。

 空いている席を探すため(きびす)をかえそうとすると

「 お一人ですか? 相席で良かったらどうぞ 」と向かいの席を示してくれた。見つかって良かったと思い「 いいの?ありがとう 」と座らせてもらった。


「 こんなに混んでいるとは思わなかった ハンカチ拾って良かったよ 」彼女は今度は "ビクッ" とした。
 
 男に免疫が無いのか?さっきは大きな目を見開いていた、驚いたり、赤くなったりとまだ会ったばかりなのにこんなに変化を観られて面白いな、リスを連想させる。

「 はい 私も予想外に混んでいたのでびっくりしました 」びくびくしながらも答えてる。

「 買い物?オレは友達と待ち合わせしてたんだけど 時間送れるからって連絡あって店に入ったんだ 」

「 あの 彼女さんですか? 」

「 えっ? 」なんでだ?

「 待ち合わせしている お友達って… 彼女さんだったら 相席していて誤解されたら申し訳ないので…」

「 違う 違う 高校からの友達で男だよ それにオレ彼女いないから大丈夫 」

 そうか、逆に彼氏待ちだったらここには座れなかったから彼女も彼氏はいないのか。一人で納得する。

「 高校の友達ですか?私も先週帰省した時会って来ました。久しぶりで楽しかったです 」

「 帰省か… いい響きだよな。オレ地元がここで実家も近くだから帰省って縁がないんだよな 」

「 実家は遠いのか? 」

「 それほどでも無いです。電車で2時間ほどで着きま…」

 ブルル…ブルル…ブルル…ケータイに連絡が入った。確認すると隼がもうすぐ着くようだ。

「 思ったよりも早かったな。 友達がもうすぐ着くようだから行くね。席ありがとう 」と 残りのアイスコーヒーを飲み干しながら席を立つが、もう少し話していたかった。

 カフェを出ると暑さに襲われるが、彼女の反応が面白くて楽しかったせいなのか気持ちは軽かった。

 待ち合わせ場所には隼と同時に着いた。

「 待たせてごめん!」

「 いいよ 別に」

「 なんだ、怒ってないのか?それよりも嬉しそうだな」

「 怒ってもないけど普通だぞ 」とスルーした。