月曜日の朝はいつもより早い時間に家を出た。

 神崎さんに会うのは一瞬なのだから平気なはずなのに、歪んだ顔になりそうで笑顔の自信がないから電車の時間をずらした。

 会社までの通り道にあるカフェで コーヒーを飲み、テイクアウトでお昼のサンドウィッチを買った。いつもと違う時間の使い方、たまにはこんな朝もいいかも知れない。

 お昼休憩に早速綾乃へ報告した。

「 金曜日はちゃんと帰れた?」

「 帰れたよ、 帰り道で神崎さんに電話したの 」

「 七海にしたら行動が早かったわね 、 で?」

「 誕生日の日は同期の人達と出掛けるらしい 」

「 玉砕したのね、 誕生日だってハッキリ言ったの?」

「 言えないよ。神崎さんと話してたら、向こうの音が聞こえるの。ガヤガヤしていて一緒に飲んでいる女の人の声が聞こえた……私との時間よりも神崎さんには優先させたい事がたくさんあって、私だけ一緒にいたいように思えて、なんだろ?神崎さんのと関係がわからなくて、どこまで言って良いのかわからなくなっちゃった」

「ごめんね、私が余計な事言ったから七海を悩ませてるね」

「綾乃のせいではないよ、私が気付かなかっただけだから」

「神崎さんとお互いの気持ちを話し合ったほうがいいよ」

「 うん、わかっているけど 会うの夜だけだと思ったら私の存在に自信無くなったゃった…ちょっと怖いな」

「気分転換に、今度の土曜日は一緒にスパ行こうか?気持ちいいよ!」

「 そうだね、最近行ってないから行こうかな どこにする? 楽しみ!」

「そんな空元気なんてしなくて良いから、ゆったりしてこよう。ね!」

「ありがとう、綾乃」

 週末を励みに、 仕事を頑張る。

 只、ケータイにメッセージを送る事はあれから出来なかった。