それからは《おはよう》や《ランチは中華にしたら量が多くてお腹いっぱい》とか些細な出来事をケータイに送るようになった。
神崎さんからはたまにスタンプなど返信してくれる。
そしてふらっと夜に訪れて泊まって早朝に帰っていく日が増えた。
いつも突然だが、会いに来てくれたことが嬉しくて、抱かれる度に私の中で悦びが増していく。
最初の頃は、土日は空いているか聞いていたが、いつも予定が入っていたので段々と聞けなくなった。
仕事だったり、フットサルや友達と約束しているなど交友関係が活発らしくなかなか会えない。
11月の半ばの金曜日、忘年会や年末で忙しくなる前にと、綾乃と飲みに行く。
会社から歩いて行ける定番の居酒屋さんで、間仕切りがあるのでくつろいで話すことが出来る。まずは綾乃が生ビール、私はファジーネーブル とあとは適当に注文する。
「 で、最近神崎さんとはどうなのよ?」
「 ドライブ行ってからは 平日の夜に会いにきてくれてる 」
「 夜に会いに来るって デートに行ってないの?ショッピングとかは?」
「 無いかな…休日は忙しいらしくて会えないんだぁ」
「 だってドライブ行ってから一月経つでしょう? まぁそれなら七海が神崎さんの部屋に押し掛ければいいじゃない 」
「 …神崎さんの部屋は行ったことないの」
「 そんなことある? 付き合っているのでしょう? 改めて聞くけど 告白したのはどっち?」
「 告白というか『好き』と言ったのは私から…」
「『付き合おう』って言ったのは??」
「 言われてないし、言ってないかも…」
「 神崎さんに『好き』って言われたことあるの?」
「無いです」
「 ねぇ七海 本当に付き合っているの? この状況 世間でなんて呼ばれているか知ってる?」
「 セフレ?」
「 正解 …」
「 私って セフレだったの?」
「 酷なようだけどね 神崎さんがどう考えているのかは分からないけど 端から見たらセフレだよ 」
一瞬 ショックを受けるが、神崎さんと一緒に過ごしたい自分が、どうするべきなのかわからない。いつもより早いペースで飲んでしまい2杯目を注文した。
「 もうすぐ七海の誕生日でしょう?神崎さんは知ってるの?」
「 言ってないから知らないと思う 」
「 それなら誕生日を伝えてみたら?ちょうど今年は土曜日なんだから、デートすればいいじゃない 」
「 そうしようかな?」自分のことなのになんとも複雑な気分になる。話を変えないと沈んでいきそうだ。
「 綾乃は福原さんとどうなの?」
「 ん!順調かな 今は殆ど一緒にいて別々に棲んでいる意味が無いから『同棲しようか』って話してる。親にも挨拶したいらしいの 」
「本当!順調だねークリスマスはどうするの? 」
「 平日だから遠出は無理だし仕事もどうなるかわからないから 家で過ごすかな?その前の週末にイルミネーション観に行来たくて、今は場所を検討中 」
「 綾乃はいいな 」
「 いいでしょう?だから七海も頑張りなね 」
気付けばもうすぐ22時になる。会計を済ませて駅で別れた。