「何か考え事?」 「今年のミスターコン、イズミくん出るかなって考えてた」 「嘘つけ」 頭1つ背の高いイズミくんが呆れた声を出す。 その声にふふっと笑って肩を竦める。 ふと視線を外に戻せば。 3月上旬。雨の音と、微かな雨のにおい。 こういう雨が降ると思い出す。 私が大嫌いで、大切で、そして酷く残酷な―――――――…… あの、夏。