「四宮さんと一緒にいると、嫌われたくないとか、自分をよく見せたいとか……そういう見栄?みたいなものが生まれて……勝手に追い込まれるんです。それに、四宮さんの一挙一動でどうしようもなく心が乱れて、いつでもドキドキして緊張するので、息が詰まるんです」

それは本当だった。
四宮さんの目にどう映っているのかが気になって仕方ない。だから、気が張る。

「遠くから一方的に四宮さんを見ている時が一番気持ちが落ち着いて幸せを感じるんですけど、それだとどこか物足りない思いもあって……どれだけ緊張しても、やっぱり目を見て話して、笑顔も見たいし名前も呼んで欲しいし、それに、触れたくて……」

強く握りしめた拳は指の骨が浮き上がり白くなっていた。
今までずっとそれを見ていたけれど、想いを伝えるならしっかりと目を合わせなければ……と思い、意を決して顔を上げ四宮さんを見る。

私を真っ直ぐに見つめる瞳がすぐそこにあって、心臓が爆発しそうだ。
呼吸が震えていた。

「つまり、好きなんです。私、四宮さんに恋してるんです」

背筋を伸ばして言い切った途端、伸びてきた手に抱き寄せられる。

「でも、その前に話が……わっ」

なんの受け身もとれなかったのでぶつかる形になり、それなりの衝撃があったと思うのに、四宮さんはびくともしなかった。

背中に回った手が、ギュッと私を抱き締める。
その腕の強さを、どこか夢みたいな気持ちで感じていると、四宮さんが言う。

「俺も鈴奈が好きだ」