愁君が見つめていた方を見ると、同じ高校生だけど綺麗で幼さも残って
いる女の人がいた。
私よりは、少し小さな人だった。
すごい周りの人とは、違うものがあった。
見てしまうと、目を離せなくなってしまうそんな感じだった。
でも、愁君は何か違った。
見つめているけど私とは違った。
女の人は、愁君に気付いていなかった。
「愁君?」
愁君は、私の声も聞こえていなかった。
ただその人をずっと見てから、聖の方を見てから言った。
『聖、俺。波を今みた。』
『波だった。すぐ分かった。』
「あれが、波さん?」
『あぁ。でも俺、行けない。』
愁君がその女の人をずっと見つめていたのが分かった。