忘れられない、波さんだったからだ。

 私は、思った。波さんのとこ早く行かなきゃ。

 
 早く伝えてあげて。

 「愁君、行かなきゃ。」
 
 「伝えないと。」



『俺に、伝える権利なんてない。』
 
 「ある。ずっと心の中にいた。忘れなかった。」



 「今でも好きでしょ?だったら行け。」

『俺は、行かない。』



 「好きなのに?もう会えないかもよ。」

 「後悔するよ。」



『俺、行っていいのか?』

 「当たり前じゃん。」