しばらく歩いていると。


「よし、ここに入ろう」


 男の子がそう言って入ったところ。

 そこは公園。


 男の子は私の腕を掴んだまま公園の中を歩いて行く。

 そのとき、ふと思った。

 男の子が私の腕を掴んで歩き出してしまったからとはいえ。
 話したばかりの人にそのままついて歩いている。
 それは、何という大胆な行動なのだろう。

 いつもの私なら考えられない行動。

 人と接することが苦手な私が……。
 というか、人と話すことを得意としている人だって、そんな行動は考えにくい。

 それなのに。
 今日の私は一体どうしたのだろう。

 どうした……?

 ううん、違う。

 私がこんな行動をとっているのは。
 今日はどうしても学校に行きたくない。
 そんな気持ちからくるものだと思う。

 とはいえ。
 やっぱり、いつもの私とは何かが違う。

 なんで今日はこんなにも……。


「あっ、ここ空いてる。ここ座ろ」


 男の子が示した方を見ると、ベンチがあった。

 男の子は私の腕を掴んでいた手を離してベンチに座った。


「君も座りなよ」


 男の子はそう言って、男の子が座っている隣の空いたスペースを手でポンポンとした。


 男の子にそう言われ、男の子の隣に座った。


「あっ、そういえば名前まだ言ってなかったね」


 男の子の隣に座ったすぐ後、男の子がそう言った。


「俺、青野真宙(まひろ)。よろしく」


 青野真宙……。

 この男の子が青野真宙くん。

 私も名前は知っている。