「話を聞いてくれてありがとう、真宙くん」
一通り話し終え、真宙くんにお礼を言った。
「『ありがとう』を言うのは俺の方だよ」
「え……?」
「本当はすごく言いづらかっただろうに、
勇気を出して俺に話してくれた。
そんな希空ちゃんはすごいと思う」
真宙くん……。
「ありがとう、そんなふうに言ってくれて」
真宙くんに過去を話すことができた。
あとは。
美空さんと話をしてみたいということを真宙くんにお願いしようと思うのだけど……。
真宙くんに、どういうお願いのしかたをすればいいのだろう。
……って。
そんなふうに思うのなら、真宙くんにお願いしなければいいことなのかもしれない。
けれど。
それでは先へ進むことはできない。
美空さんも、私も……。
だから……。
「……あの、真宙くん……
……美空さんのことなんだけど……」
と、真宙くんに声をかけたのはいいけれど。
そこからどう言えばいいのだろう。
良い言葉が思いつかない。
「美空と話をしてみたいんでしょ」
そのとき。
心の中を当てた?
と思うくらいの真宙くんの言葉。
そのことに驚きながら小さく頷いた。
「じゃあ、美空にメッセージを送るね」
えっ⁉
「俺、時々、美空のスマホにメッセージを送っているんだ」
メッセージを⁉
本当⁉ 真宙くんっ。
「俺が二・三回、送信したら、
美空からは一回くらいは返信が来るかな」
本当っ‼ 真宙くんっ‼
よかった。
美空さんとメッセージのやりとりで繋がっていたんだ。
少しだけでも繋がることができているのなら、希望はあるから。
近い未来、真宙くんと美空さんが仲直りできているといいな。
「だから美空にメッセージを送ってみるよ。
俺の友達が美空と話をしてみたいって言ってるって」
「……本当? 本当にいいの、真宙くん」
「いいに決まってるでしょ。
っていうか、むしろありがとうだよ。
妹と話をしてみたいって思ってくれて」
真宙くん……。
「えっと、美空にメッセージを送るときに、
希空ちゃんの過去のことを伝えてもいいのかな?」
「うん、伝えてほしい。
私のことを美空さんに知ってもらいたい」
「わかった。じゃあ、美空にメッセージを送ってみるね」