そうだ。
 あの方法にしよう。

 確かに、あの方法でも美空さんが話をしてくれるかどうかはわからない。

 でも。
 やっぱり美空さんと話をしてみたい。

 だから決意した。
 真宙くんに話そうと。
 私のことを。

 今までためらっていた。
 自分のことを話すことを。

 だから黒川さんに脅されたときも、黙って言うことをきくしかなかった。

 私は自分の過去を隠して過ごしてきた。
 きっと自分の過去を恥ずかしいと思っていたのだと思う。

 でも、それは違う。
 私の過去は恥ずかしくなんかない。
 私は私で精一杯生きている。

 だから。

 真宙くんに話す。
 私の過去を。

 そして、そのことを美空さんに手紙で伝えてほしい。

 ただ。
 美空さんが私の過去を知っても。
 私と会って一緒に話をしてくれるという保証はどこにもない。

 だけど、それは実行してみないとわからない。
 今の時点では100%ではないけれど0%でもない。

 だから。


「……あの……真宙くん……」


 勇気を出して。


「私も……話したいことがあるの……」


 伝えようと思った。


「……聞いて……くれる……?」


「うん、もちろんだよ」


「ありがとう、真宙くん」


 こうして自分のことを真宙くんに話し始めた。