「あっ、あの……違います……‼」


「え?」


「私……あの……
 そんな……こと……してません……」


「そうなの?」


「はい……」


「そっかぁ、よかったぁ。
 俺、てっきり……」


 ……?


「てっきり……?」


「だって君、信号赤なのに、そのまま車道に出て行こうとしたから」


「え……?」


「『え?』って、
 もしかして信号が赤だったこと気付いてなかったの?」


 信号……赤だったの……?
 全然気付かなかった。


「……はい……」


 私、いろいろ考え込んでいて……。
 だから信号が赤だったということにも気付けなかった……?


「とにかく無事でよかった」


 そう言った男の子の表情は。
 ほっとした様子だった。

 私は男の子に心から感謝をした。


 あっ、そうだ。
 まだ、お礼を言っていなかった。


「あっ、あの、
 助けてくださってありがとうございました」


「わざわざお礼なんていいよ。
 あの状況で、ほっておける人はいないから。
 ……それより……」


 ……?