ということは。
 なんとなくだけど。
 三人の構図が見えてきた。

 極端かもしれないけれど。
 黒川さんは三人の中ではボス的存在……な気がする。


「でね、さっそく本題なんだけど」


 そうだった。
 黒川さんは何か話があって、私のことを呼び出したのだった。

 三人の構図の憶測をしている場合ではなかった。


 本題……。
 黒川さんは何を話そうとしているのだろう。

 さらに緊張と不安と恐怖が高まりだした。


「麻倉さんに訊きたいことがあって」


 訊きたいこと……?


「麻倉さんと青野真宙くんのこと」


 黒川さんも……か……。


 他人(ひと)から直接言われると。
 やっぱり私と真宙くんの噂は広がっているんだ。
 そう実感せざるを得ない。


「麻倉さんは青野くんと、ずいぶん仲が良いみたいだけど、
 青野くんと付き合ってるの?」


 私と真宙くんのことで訊きたいこと。
 といったら、やっぱりこういう内容のことになるんだ……。


「ううん、付き合ってないよ」


 そう思いながら返答した。


「本当っ⁉」


 そうしたら。
 突然、黒川さんが勢い良く声を出し。


「それは本当なのねっ⁉ 麻倉さんっ‼」


 身を乗り出すようにそう訊いた。


 黒川さんの勢いに。
 圧倒されそうになった。


「う……うん」


 そうなりながらも、なんとか返事をした。


「そうなんだ、それならよかった」


 私と真宙くんが恋人同士ではないということを知った黒川さんは、ほっと一安心している様子だった。


 そして、さっきよりも黒川さんは笑顔で私のことを見た。