「お兄ちゃんの大学ってどこだっけ?」
「は? 桜城(さくらぎ)学院大学だよ」
「賢いの?」
「お前に言われたくねーよ!!」

兄弟喧嘩はつまらない。妹に会う回数より朱里に会う回数を増やしたい。しかし、居場所が分からない…。母に聞いたが教えてくれなかった。連絡取ってるなら教えてくれてもいいのにと思うが、なにか理由があるのだろう。

ピコン メールが届いた。

『祥くんへ。 元気かな?もう、東京着いたかな?私は祥くんに会えなくて寂しいよ。いつでも戻ってきていいからね!私、待ってるからね!
小百合』

高校の同級生からだった。高校3年間、俺のことが好きだったらしく、毎日メールが届いていた。1回も返信したことは無い。そもそも、なぜこいつが俺のメールアドレスを知っているのかが謎だったからだ。
朱里と会話がしたい…。
朱里とメールがしたい…。
朱里と………。