「わからないよ……」


「……本当はミキコがなにかしたんじゃない?」


そう聞かれて思わず立ち止まってしまった。


目を見開いてノドカを見つめる。


一瞬、ノドカは全部知っているのかと思った。


しかし……。


「そのアプリを使って殺人者を呼び出したりもできると思うし?」


と言われて、見当違いだということがわかった。


「それで吉田さんを殺してもらったって思ってる?」


聞くと、ノドカは悩むように首をかしげ、それから左右に首を振った。


「思わない。吉田さんやマナミたちは確かにウザイけど。殺すほどじゃないしね」


その言葉にあたしは微笑んだ。


「そうだよね。早く教室戻ろう」


殺人犯や誘拐犯を出現させるという考えはなかった。


自分の手を汚すことなく、嫌な相手を殺す方法としてはいいかもしれない。


あたしはそんなことを考えたのだった。