13階段が消滅するとわかっていて、ミキコは吉田さんを階段に立たせたままでいた。


その結果……。


「階段が消滅したとき、吉田さんも一緒に消えたの」


説明しながら口の中が乾いていくのを感じた。


「消えた……?」


「そう。跡形もなく……」


あたしは麦茶をもうひと口飲んで喉を潤した。


「このアプリは使い方によっては人を消すことができるんだよ」


あたしは自分のスマホにダウンロードした具現化アプリを指さして言った。


コウダイはブルリと身震いをする。


「それで、その後ミキコちゃんは?」


その質問にあたしは左右に首を振った。


「ミキコは帰ったよ。何事もなかったみたいにね……」