だけどそれは今関係ないから伏せておくことにした。


「吉田さんがここに立っている間に、階段は消滅したの」


あたしの言葉にコウダイが「えっ」と声をあげた。


目を丸くしてあたしを見つめている。


「嘘だろ?」


「本当だよ。あたし蔭から見てたんだから」


「まじかよ。この、吉田さんって子はどうなったんだ?」


そう聞かれて、あたしは自分の目で見たことを思い出していた。


あの時、ミキコはやけにスマホを確認していた。


最初は誰かからの連絡でも待っているのかと思った。


でも違ったんだ。


ミキコはあの時、階段が消滅する時間を頻繁に確認していたのだ。