このままだとミキコは蔭口を叩かれる対象になるかもしれない。


別にあたしには関係ないけれど……。


そう思った瞬間だった。


ふと、具現化アプリをミキコに使わせてみたらどうだろうと閃いたのだ。


ミキコは嘘をついてでも人気者になりたいと思っている。


一方、クラスメートたちはすでにミキコの嘘に飽き飽きしていてい、本気では相手にしなくなっている。


そんなときにミキコが具現化アプリを使って幽霊を出現させたら……?


ミキコの自尊心は保たれる上、クラスメートたちも喜ぶかもしれない。


そうとなれば、このアプリを利用させるターゲットはミキコに決まりだ。


ただ、残念なことにあたしとミキコはあまり接点がなかった。


これからその接点を作り、仲良くなって、自然な形でアプリをオススメしないといけない。


気の長い話だけれど、このアプリを試してみるのだからやってみる価値はある。


「ねぇ、あたしも怖い話大好きなんだけど、なにか聞かせてくれない?」


あたしはクラスメートたちに混ざり、ミキコに声をかけたのだった。