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「よしっ、今日もいい感じね。」
無事完成してリビングのテーブルにお皿を運んでいると玄関の方から鍵の開く音がする。
もう、こんな時間か。
エプロンを外して玄関に向かう。
「ただいま〜」
おかえりと口にする前に肩にずっしりと重さがくる。
「おかえり、疲れたんなら早く中に入ろうよ。」
私の肩に乗っている彼の顔を見てそう言うのは日常になりつつある。
私の言葉に「ん〜」と気の抜けた返事をしてから私を抱きかかえてリビングに向かう。
自分で歩けるんだけどな〜
そんなことを言っても聞く耳を持たないのは言うまでもないから私は黙って体をあずける。
リビングに着いても彼は私を離そうとしない。
私を上に乗せて後ろから抱きしめソファーに座ったっきり彼は何も喋らない。